パッチ6.0メインクエスト感想

はじめに

2021年12月11日14時26分、「FIN」の文字を見ました。
まず、開発スタッフ、ご関係者の皆様へ最大級の感謝を。
多くの物語にふれてきましたが、こんなにも感情を揺さぶられて終わるのが惜しいと感じた物語は数少なく、とても貴重な体験をさせてもらったと思っています。それくらい楽しかった。ありがとう、『暁月のフィナーレ』。また次の冒険が楽しみです。

さて、一体どの切り口から話したいのかも分からないくらい情報量が多いので、いくつかのパートに分けて細々と感想(兼感情の保存)を書いていきたいと思います。

全体的なこと

少し前にも書きましたが、暁月では「旧い時代から続く神話からの巣立ちの物語」であるという印象を受けました。専門ではないので具体的な言及は避けますが、リアルに存在する神話でも「神様やそれに類する大いなる存在の手を離れて自分たちの歴史を歩み始めるヒト」という主題は繰り返し語られています。14においては〈人が神であったころ(漆黒秘話第4話より引用)〉という記述があるように、古代人は創造魔法で世界をより善いものにしていこうという、国作りや世界創造を行っていたことが分かります。
そんな神様みたいなヒトたちの時代が終わり一万二千年。古代人すら超えられなかった終末が、不完全であまりにも弱い今のヒトたちに襲いかかる。ヒトは強い力がないからこそ集って終末に立ち向かい、絶望の中でも希望に向かって歩いていける。なんて綺麗な構図なんだろう、と思い返す度に感動を覚えます。

同時に、自覚があったかどうかは置いておいて、光の戦士というプレイヤーキャラがただの冒険者から英雄となっていく過程で得た縁や技、業の全てが集い、大きな流れとなって決着する。最高のエンディングだったと思います。まだまだ冒険は続いていくけれど、確かにここで旅路への答えが一つ出たんだな、終わったんだな、と感じました。だって、「新しく始めるために、終わりに辿り着く」必要があるのだから。

ヒュトロダエウスのものだったと思いますが、夢の中で聞いた上のセリフは、勿論ゾディハイ編という大きなサーガを終え、新たな旅立ちに向かう新生〜暁月全体の流れを指しているのだけれど、これはもしかしたら製作陣の中でのメッセージでもあるのかな、とも感じました。これから先の物語は新しい面々が継いでいくらしいので、今まで世界を創ってきたライター陣からの代替わりを象徴するような少しメタ的な激励の文脈を含むのかな、と。
世界を創ってくれて、ありがとう。サブクエでもジョブクエでも、またあなたの紡ぐ物語を体験出来る日を楽しみにしています。

アーカーシャ、あるいはデュナミスについて。
コンテンツファインダーというシステムを水晶公の召喚術、あるいはアゼムの術式という設定で以て物語に落とし込まれ、大いに驚き沸いたのは記憶に新しい出来事ですが、まさか今度はリミットブレイクとは……
14くんのテーマ、根幹の一つに「祈り(もしくは信仰)」があると思うのですが、ここでその想いの力という概念がそのままダイレクトにシナリオに関わってくるのがまあ熱い。おまけに天より降りし力っていう言い方。何回聞いたか分からない14のテーマ曲の名前がここにきて!
伏線として用意されていたならその回収方法に、もし伏線にしたのなら自然な流れの作り方に最大の賛辞を贈りたいです。本当に流れが美しかった。

人物ごとの話

正直、暁月では本当に近しい誰かが死んでしまってもおかしくない、と思っていました。エスティニアンとか……双子やヒカセンを護って、とかやりかねなくて怖かった。実際一回は暁全員姿をなくしてしまったんですけど、本当にもう会えなくなるかと思っていたので、全員で帰って来れてよかったです。本当に。
個別で名前を挙げている以外にも言いたいことがいっぱいある人はいるのですが、まだ言語化するには至っていないので割愛。また機会があれば!
なお、ここではプレイヤーキャラをヒカセンと記述します。自機の話も混ざるのでご容赦ください。

アルフィノ

ずっと側にいて、英雄ではないヒカセンを誰よりも認めて見守ってくれていた人。新生での挫折からこっち、ずっと護っているつもりだったけど、いつの間にか護る側の人になっていた彼は確かにあの世界のもう一人の主人公でした。
手酷い失敗の末、ヒカセンとは違った意味で屍の上に立つことになったアルフィノが、ガレマルドでぶち当たった壁。そのどれもに心を揺さぶられながら、それでも前に進むことを止めなかった。捕虜になって、アリゼーと二人で話していた時の座して待つという姿勢と落ち着きぶりにPLの涙腺ガバガバになりました。信じてくれていることと、待つという選択肢を取れる彼の度量の大きさ。そのどちらもが尊くて愛しい旅路の現れ。
ウルティマトゥーレで水晶の道を渡る途中、ぽつぽつと言葉を交わしたあの空気感は今までの旅路があってこそだったと思います。分かり合えると信じてくれているような感じがして、それがとても嬉しい。

アリゼー

君がずっと背中を見ている、君の剣でいる。だから立っていられた場面がいくつもあった。
今回、輪をかけて可愛くていじらしくて。本当にどうにかなるかと思った。あの、腰に手を当ててむんってするの可愛いからもっとやって欲しいです。かわいい。
アリゼーについてはもう、ゼノスへのあの言葉ですよ。彼女の言葉がなければ、あの時に啖呵切ってくれなかったらゼノスは自分でいっぱい考えて宇宙の果てまで来るなんてことなかった。つまり、アリゼーのお陰であの結末が迎えれたといっても過言じゃないと思っています。思ったことをすぐに口に出しちゃう、やさしくていじらしいアリゼーのまっすぐなところが大好きです。
ちょくちょく彼女と同行するクエストがあってほんっとうに楽しかったです。二人でラストスタンドに行った時、二人で街を歩いている風のSS撮っちゃったのは私だけじゃないはず。本当に可愛くてかわいくて、前から可愛いとは思っていたけれど暁月で天元突破した感じが否めません。双子……愛しい……。

ヤ・シュトラ

私たちの偉大なる魔女。
彼女の「〜〜〜、ね」の言い方が好きです。
リムサスタートなので、彼女との付き合いは本当にもう長くなったものです。最初はよく分からん怪しい美人なお姉さんくらいにしか思ってなかったし、きっとあっちもヒカセンのことは超える力を持つ冒険者の一人くらいの認識だったでしょう。あの夜の会話で、リーンが一緒にいない今、異変に気付けるのは自分だけだからと気遣ってくれた時、彼女にとってヒカセンは放っておけないものの範疇に入れてもらえているんだ、とすごく嬉しかったです。
格好いい大人の女性。強くて、でもお茶目で可愛くて。そんな頼りがいのあるお姉様がイーア族に啖呵を切るシーン、最高に格好良かったです。何が起こるのか分かっていても、それでも見惚れてしまうほど。好奇心は猫をも殺しますが、シュトラはそれすら踏み越えて往く。
探究心の塊のような彼女が暁へ導いてくれた賢人でよかった。

ウリエンジェ

漆黒からこっち、彼の成長というか人としての在り方の変化を見せられてきて、暁月に至ってそれが遂に実を結んだと感じました。
ムーンブリダのご両親との一幕。最後の決戦前に話せてよかったと心底思いました。PL自身、ムーンさんの死があまりに突然で深くふかく傷ついたイベントの一つとして捉えているので、漆黒のボズヤで少しずつ明かされる私たちの知らないムーンさんの側面や、ウリエンジェから語られる知るべとしての彼女の姿が本当に辛くて辛くて溜まりませんでした。月でレポリットたちから持ちかけられた話から自分は薄情なんじゃないかと思い悩む、そんな人が薄情なはずがないのに。

サンクレッド

彼は5.0終盤からこっち、護る人としての側面が強く出ているように感じていて、今回はそれが最大限に発揮されたように思いました。
自分がタンクメインであることも相まって、「一緒に」盾役を張っている相棒感を勝手に抱いていたのですが、なんだかんだでMTはこちらがする(ハイデリン戦では彼がSTをしてくれました)し、いざとなったらこっちが先に前に出るくらいの心づもりでした。まさかヒカセンが立ち上がれないくらいの状況下、彼が飛び出していくなんて思っていなかった。背中を見せられるとは思っていなかった。宙域の在り方を塗り替えてしまうほどの想いの強さ、それを形に成せたことがなんだかすごく、すごく悔しくて誇らしかったです。本当に悔しい。
あと、諜報員のお仕事体験をさせてもらえたの、本当に楽しかったです!一回死にましたが……(目撃者を全員消せば隠密成功だと思っている人)
あとあと、ぐらりサベネア旅情のおっさんパーティ楽しかったです!自機がアウラ・ゼラ男なのでサンクレッドが一番小さくて可愛かったです。画面が大変むさ苦しかった。

エスティニアン

彼に関してはもう、何から言えばいいのか……とにかく様子がおかしかった。双子、特にアルフィノにお兄ちゃん面するのはもう分かりきっていたことですが、ヴリトラに対してのあの態度は薄っすらとニーズに引っ張られているんだろうな、と思わざるを得ませんでした。大好きです。
終始武人としての立ち振る舞いを貫き通して、無骨でぶっきらぼうでやさしくて。たとえ戦場が離れていてもお互いに信頼している感じがビシバシ伝わってきて、胸が痛いほど安心しました。きっとヒカセンに何かあっても最期にとどめを刺してくれるのは彼しかいないと思います。
それにしても、アルフィノと二人でアメリアンスお母様にご挨拶行ったのは許せませんね。抜け駆け……しないでよ……。

グ・ラハ

毎分毎秒好きにさせてくれる男。
言いたいことはもう、そりゃもう山ほどあります。
ゾットの塔攻略後、広範囲に魔法を使ったことでぶっ倒れた時。無茶して禁書庫に忍び込んで捕まった時。獣化現象で混乱するラザハンで、人々を落ち着かせるために指揮を執った時。遂には一方的に約束をとりつけてきて道を作った時。ほんっっっとうに好き勝手自分だけで決めて突っ走って抱え込んで。
身軽になった分、人生を謳歌している分、本当に我儘な人になって嬉しい反面、とても心配です。いつか本当にどこかに行ってしまうんじゃないか、と恐怖すると同時に、それでも最後は必ず側に帰ってきてくれるんだろうなという確信もあって。何目線なのかもう分からない。
彼については正直、誰よりも消化しきれていないのでまた追々考えていくことにします。とにかく、生きていてくれてよかった。

タタルさんとクルルさん

二人が待っている、帰ってくる場所でいてくれることが世界一の根無し草たるヒカセンを繋ぎ止めたのだろうと思っています。うっかりしたらどこかへ遠く、それこそ宇宙の果てへ冒険しに行きそうな人だから。
タタルさんもクルルさんも、戦場に駆け出していく面々の背中を見てどれほど悔しさや心配を抱えていただろうと思うと、胸が苦しくなります。どんな状況でも自分に出来ることを探して、全力で取り組んできた彼女たちの頑張りがなければきっと派遣団もラグナロクも実を結ぶことは出来なかったでしょう。漆黒終盤にフォルドラが言っていたように、剣を執って戦場に出るだけが戦いではないということを二人は体現してくれているようで感慨深かったです。

ファダニエル(ヘルメス/アモン)

要素が多い。彼らに共通するテーマは「終わり」なのかな。
ヘルメス。
めちゃくちゃどんくさくて、誰よりも繊細で、でも神の視点しか持ち得なかった人。彼は誰よりも古代の人らしい人だと認識しています。メーティオンに心を搭載して宇宙に放ったことにそれが一番出ている。想像が出来なかったんでしょう。心ある者が宛てもなく暗くて寂しい道を独りで飛ぶことの意味。それがどんなに耐え難いものかはオメガと出会ったヒカセンなら知っているし、想像することも出来るでしょう。でも、ヘルメスには出来なかった。出来ないことが悪いわけじゃなくて、彼が認めたくなかった旧い時代の常識にもとづく命の価値・意味の範疇から自分だって外れることは出来ていない自覚がなかったという話。
願わくば、次に出会った時は一緒に広い世界を見てまわりたいものです。きっと古代の彼が見て、聞いて、考える材料にした世界はあまりに狭い。

アモン。
お前めちゃくちゃしつこいな……ってくらい出てきて爆笑。状況は笑えませんが。
一時期、クリタワで会えるアモンのモーションに指パッチンが入っていたり、凍らせてくる陣が似ているからっていう理由でアモン=エメトセルク説が出ていたのですが、まさかファダニエルだとは思わなかったです。ゾディに成り果て、戦っている最中、最初はだいぶと落ち着いているのにどんどんテンションが上がって、遂には大爆笑するあの瞬間が最高に最低でした。褒めてます。
アラグ帝国の時代、アモンが魔物を作っていたのはヘルメスという魂が持つ性質がそうさせたのかもしれないな、と思っています。同僚たちを改造してみたりするのはどうかと思いますが。思ったよりもザンデへの忠誠が強く、ゼノスという圧倒的な強者に王の面影を探していたのかもなぁとぼんやり考えていました。正直、アモンに関しては考察が足りていないのでまた今度。

メーティオン

どこまでも飛んでいく青い鳥。
お散歩したり、お使いしたりお喋りしたり、一緒に時間を過ごすうちに純粋な子だなと強く感じました。そういう無垢な部分がデュナミスを受けるために良く作用しているのかもしれない、と。
宇宙に姉妹たちが放たれたと聞いた時、もしかしたら現在の時空に帰った後で会えるかもしれないなぁと純粋に楽しみに思っていた自分がいました。そうしたら、もういなくなってしまったヘルメスの代わりに彼女の旅の話を聞かせてもらえるな、砂糖ドバドバりんごも準備して暁のみんなと聞けたら素敵、と。まさかあんなことになると思わないじゃないですか……。
大体、ヴェーネスに補助してもらって過去視をした時にうっすら気付きました。ヘルメス、もしくはメーティオン、あるいは二人ともが終末の機構そのものなのだと。おまけに外宇宙から訪れたものに天脈が食い破られているのではないか、というヒュトロダエウスの推理。今、我々が知覚している中で宇宙にいるのはメーティオンしかいない。
それにしても、本当に外宇宙に命はいなかったのだろうか。幻龍に最後の希望と言わしめるくらいだから、本当に外には何者も残っていないのかもしれないけれど、本当の本当に絶望しかないのか。メーティオンの姉妹たちがたくさんいたとしても、観測できた星以外に生命がないと保証できるはずがないんじゃないか、と考えてしまします。同時に、心ある彼女が絶望に染まりきるには十分な数の星を見てしまったんだろうな、とも思います。全部確認したかどうかが大切なんじゃなくて、心を折るだけの絶望があったということが肝なわけで。
どうか、今度はアーテリスの空を自由に飛んでほしい。きっと答えがない世界は広くて楽しいから。

ヴェーネス

親愛なるお師匠様。
正直、ハイデリンの思惑がずっと分からなくて。ダメ押しとばかりに序盤のシャーレアン行きの船上の選択肢では信用できない、みたいなことまで入っていていよいよハイデリンはやっぱりゾディとは違うベクトルに振り切った倒すべきものなのかな、と信じきれない気持ちでいました。
まさか、まさか先代アゼムだなんて誰が想像できましたか。アゼムなら大丈夫、と思えたのはこれまでの旅路があったからでしょう。お茶目でお淑やかに見えて、立ち姿がまさかの仁王立ちで実はゴリゴリな行動派。エルピスで一緒に過ごす内に「ああ、この人はアゼムだ」と彼女への親愛の気持ちが大きくなっていったのはきっと彼女にヒカセンと同じ面を見たからだと思います。
ある意味で倒すべきものという予想は当たりましたが、ここで暁のメンバーと一緒に挑むなんて聞いてないです。自機はタンクなのでサンクレッドと一緒に彼女の強攻撃を頭割りしたり、アリゼーがやんちゃして被弾するのを猛ってあげたり、みんなで乗り越えた感じがあってこれも本当によかった。あなたに示す答えは、彼らと共に在る自分なのかもしれない。
そういえば、ゾディが星の理を敷き直して、ヴェーネスがハイデリンを降ろしてキックするまでの間ってどれくらい空いていたんでしょうね。あのムービー(好き)ではまるで独りで神降ろしをしたみたいになっていますが、彼女にも協力者たちがいたわけで、そのあたりの詳細も知りたかったです。(これは完全に余談で根拠のない妄想ですが、5.2のアニドラスで見られる過去の映像。あそこに登場する落ち着いた古代人(?)が月の監視者の原型だったらちょっと嬉しいな、と思いました。知り合いだったって言っていたものね)
いろいろ思うところはもっとあるんですけど、ちょっと消化しきれていないので今回はここまで。
ただ、彼女から投げかけられた問いに遠い未来である今、ちゃんと答えることができて本当に良かった。ずっと、ずっとあなたに見守られてきた小さな命たちは今、あなたの手を離れて歩き出す。今度こそゆっくり休んでください。

エメトセルクとヒュトロダエウス、アゼム

完全なる余談ですが、自分の中で彼らは「古代3馬鹿トリオ」と呼んでいます。
エメトセルク。
ナレーションがずるい。まるで今、この瞬間の旅を見ているようだと感じた、シャーレアンに向かう船上。あそこからまた一緒に旅をしているみたいだなぁと嬉しいような寂しいような気持ちを抱えて、新エリアを訪れる度に流れるナレーションにビクビクしていました。良いところばかり持っていく。ずるい。エルピス編では未来の自分に対して怒って、それでも気付かされてしまった可能性のために動ける不器用なやさしさ。そんなところがアゼムに振り回されてしまう一因なんですよね。好きです。

ヒュトロダエウス。
思ったより100倍ゲラで1000倍どうしようもない人でした。好き。古代の倫理観の中で生きてはいるけど、限りなく異端寄りでそれを自覚した上で上手く生きているように感じます。友人のために命を張れるなんて、星のために生きることが当たり前の当時からすれば本当に有り得ない価値観なわけで。だからこそ、アゼム(異端虫の異端)とエメトセルク(当時の常識の範疇にあって規格外の素質を持つ)のことを大切な友人だと思えたのだろうな、と考えています。暁月にきて、一気に好きになった人の一人です。
月での会話で、また「新しく、懐かしいキミ」と呼んでくれたのがとても嬉しかったです。あの呼び方、すごく好き。
それにしても集団幻覚かと思っていたのに、まさかほぼ想像していた通りのビジュアルで出てくるだなんて誰が想像していましたか?????優勝。

アゼム。
あなた、一体どこまで知っていてどこまで見えているんですか???謎すぎるオリジナル。当時でも異端だったヴェーネスをして「面白い子」と呼ばれるあの人は本当に変な人だったんだろうな、と。エルピスにいる面々から伝え聞くあの人の姿は自由奔放でとても魅力的で、ずっと眺めていても飽きないんだろうなぁと思いました。同時に誰よりも冷たい人だとも思えて、本当に不思議な人。
メタ的に考えて、きっと直接会えることはないでしょうから、せめてあの人を知る人と会ってたくさん話したいです。古代という時代に在って、今のヒトのような感性を持っていただろう稀有な人が周りからどう見られていたのか、どう関わり合っていたのかが知りたい。パンデモニウムで会える彼、知り合いらしいのでとっても期待しています。

ゼノス

彼にはずっっっっっっっっっっと驚かされっぱなしでした。
以前から度々、プレイヤーとしての自分は彼を恐ろしく思っていることを言ってきましたが、それが最高潮に達したのはあの、「寒夜のこと」。あのイベントバトル前後の絶望感ったら、焦燥感も相まって味わったことのない感情になりました。
ちょっと脱線して、あのイベントバトルのこと。個人的にはあのイベントバトルは必要、かつあの難易度がちょうど良かったので本当に没入感が凄まじかったです(エウレカでバイ●ハザードごっこやっててよかった)。
一般兵の体に入って、魔導兵器やテンパを避けつつファダニエルの煽りにキレ散らかす。思うように動かないし、全然ダメージを与えられないし、無自覚に常人のそれを超えてしまっていたヒカセンは途中で助けられなかった人の亡骸を見て、自分の体なら助けられたのだろうか、と悔いる。最高。あのイベントを考えた人、もしかして5.3の「色褪せた記憶」をデザインした人と同じじゃないですか?あちらは泣いて泣いて画面が見えなくなって大変な目に遭いました。ありがとうございました、心を折る手段が多岐にわたる作品は良作。
話を戻して。
まさか彼と食事会()をすることになるとは思わなかったです。紅蓮で出会ってしまって、一度倒して、それでゼノスはヒカセンが自分のことを取るに足らないものだと認識されていると思っていた。認識を改めさせるために世界を潰そうとする悪になってみたり、食事をしてみたり、体を乗っ取ってみたり。終末すらゼノスにとってはヒカセンに振り向いてもらうための手段の一つでしかなかった。憎しみや怒りを向けられれば、またあの空中庭園のように、あるいはあの瞬間よりもさらに高みで最高の戦いができると思っていたから。
でもヒカセンは、そういう感情によって彼とは戦わないと言いきった。言いきったんですよね。

さらにアリゼーからかけられた言葉。それは確かに彼に届いていて、空中庭園に行ってみたり、どうすればよいかを考えていた。
最後の最後には取引という形で他人(クルル)を頼ってまで、自分の得た答えを伝えるために、一緒に愉しむために宇宙の果てまで飛んできてしまった。あのパリンパリンバリーーーン!!!の瞬間、誰がきたのか分からなくて神龍を認識して驚いて、爆笑していました。おまけに背中で戦わせてくれる始末。ちゃんと順番守れて偉いね。何だこいつ。
なぜそこまで彼はヒカセンに対して考えようと思い、あんなにも大きな変化を果たしたのか。彼にとっても、ヒカセンは希望の灯火だったのかもしれない、と考えていました。周囲の執着しているものの価値が分からない、と言っていた彼はずっと寒い夜に独りでいるような心地だったのかもしれません。そこに命という燃料を燃やす火がもたらされた。彼の新生はあの空中庭園、自害という形で終わるはずだった物語が続き、今に至る。

どつきあい宇宙後、悔しい、と漏らしたゼノスのあの声音に彼の歩み全てが詰まっているような気がします。すさまじかった。
いろんなところで言われていますが、ゼノスはメタ的な要素を大いに含んだキャラクターです。最果てで倒れ込んだ二人が交わした言葉、「存分に楽しかったか」は「エオルゼアで生きる冒険者」ではなく、「プレイヤーに生み出されたプレイヤーキャラ≒プレイヤー」に向けてだったのではないか、と感じました。(プレイヤーである自分の中にいくつかの視点があって、「世界にどっぷり浸かった他キャラと同じ目線の高さPC俺」と「PCたちの冒険を見守っている保護者PL俺」、あとは「世界を俯瞰で見ている分析者PL俺」なんかもいます。そのどれかに引っかかったという話。自分でもよくわかっていません)
ゼノスが最後の一呼吸の瞬間まで楽しかった、と思っていたかは知る由もなく、知るべきではない理解すべきではないのかな、と思っています。ただ、あの瞬間において、彼とは同じ目線を持つ友、あるいは同士だったことは確か。ずっと恐怖の対象でしかなかった彼が、ヒカセンのことを英雄ではなく「ただの人」と見てくれる唯一の人になっていたと気付いたのが大きいです。

光の戦士

自機の話。
前提として、自分は14を始めた当初、自機が独立した存在(≠自分)という意識はなくて、徐々に人格を持っていった感覚があります。最初に感じたのは教皇庁後、顕著に感じ始めたのは紅蓮終わりくらいからだったでしょうか……記憶が曖昧ですが。
プレイヤーとは別個の存在だと感じているからこそ。本当に、本当によく頑張ったね、と伝えたい。これまで楽しいことも辛いことも、死にそうな目にもたくさん逢ってきた。それでも止まらずに歩いて一つの結末を迎えられたことが本当に誇らしいです。これからもまだまだ旅路は続くけれど、一度目のカーテンコールを見られたのは本当に嬉しかったです。

暁月では自機のメンタルが心配な場面がたくさんあって最高でした。ヴリトラにかけられた言葉(運命と力を引き寄せすぎている)でずっと考え続けていて、その矢先にガレマルドでゼノスに体を奪われてあわや大惨事という場面に陥って。どれくらい怖かっただろうと想像したらお腹が痛くなりました。必ず護ってみせると意気込んだところで、英雄の器・自分の体がなければ何も出来ないことを痛感したんじゃないかな、と思います。だから、グ・ラハが無茶するのに対してめちゃくちゃ怒るし、ウルティマ・トゥーレで双子が行こうとした時に珍しく声を荒げて怒ったんだと考えていました。本当にいっぱいいっぱい精一杯だったろう、と。

うちの自機に関しては、新生で蛮神殺しを成し遂げてしまって「英雄」と呼ばれるようになり、(それが友の仇討ちや友を救うために行ったことの末だとしても)蒼天では「救国の英雄」、紅蓮では帝国の支配から国というアイデンティティを取り戻した「解放者」。転戦を重ねて武名を挙げてもなお「英雄だと呼ばれている」くらいの自己認識であったものが、漆黒を経て「英雄である在り方」を認めたと考察しています。ちょっと体が丈夫で器用なだけで普通の感覚の人でしかないので、知らずに背負っていたものを重く感じることもあったでしょう。そんな「英雄」と呼ばれる日々も重荷であるだけじゃないくて、たまには悪くない、と思えるようになった。それが暁月前まで。
暁月では、そんなある意味自覚的な「英雄」としての振る舞いが多かったように感じました。だからこそ、「寒夜のこと」がメンタルに効く。絶対に護ると決めたのなら歩き続けなければならない、と自分に課した末のウルティマ・トゥーレでのステータス:エンドウォーカーに繋がっていくんだろうな、と。

そして遂に最果てでの彼との戦いでヒカセンはただの冒険者に戻ったのかもしれない、と思います。新人くんの言葉を借りると、身軽になった。自由気ままな冒険者稼業に戻ったのだから、彼が捨て台詞で残していった未知をゆっくり探索しに行ってほしいです。

本当にお疲れ様。これからもよろしく。